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従業員8人の町工場から世界的なブランドへ

高岡市にある「能作」本社へ

 

2020年2月、富山に出張する機会があり、BtoB企業のブランディングの雄、
「能作」さんの本社&工場に立ち寄ることができました。
立ち寄ると書いたのは、当日、予定していた富山市内の取材が1本キャンセルになり、
お昼を挟んで2時間半ほど空き時間ができてしまい、移動時間を抜いた1時間ちょっとの滞在だったからです。

現地のクライアントさんと空き時間にどこへランチに行き、時間を潰そうか?と話し合っているときに、
ふと昨年の富山出張の際、富山きときと空港の取材時に能作さんの風鈴を買おうか、迷ったことを話したところ、
「良かったら、私も行ってみたいので、能作さんに行ってみましょうか?」と
嬉しいご提案があり、急遽、行くことが実現できたのです。

「能作」という企業は、もともと鋳造技術を用いて仏具や茶道具を製造する従業員8人の下請け工場だったそうですが、「お客様の顔が見たい」という思いから、BtoC向けの素敵なオリジナル製品を開発し、
今や年間12万人の工場見学者が訪れるようになった企業で、2年ほど前から一度行ってみたいと思っていました。

今回、ブログでご紹介するにあたって改めてWEBで調べてみるとTV「カンブリア宮殿」で紹介されたり、書籍(社員15倍! 見学者300倍! 踊る町工場 伝統産業とひとをつなぐ「能作」の秘密 )が出版されていると知りました。

どうしてここまでの成功を収めることが出来たのでしょうか?
あるとき工場見学に訪れた親子連れの母親が、作業している職人を見て、息子に
「勉強しないと、あんな仕事に就くことになるんだよ」と言っているのを5代目社長・能作克治さんが聞き
その時の「悔しさ」が原点にあるというエピソードをはじめ、非常に興味深い成功へのエピソードが沢山あり
WEB上でも紹介されているので、それらはそちらで読んでいただくとして、ここでは、私個人の現地の
感想を少し書かせて頂きます。

田園風景の中に突如現れる洗練された空間

 

訪れる前の富山の市街地以外のイメージが、写真のような雪山と田んぼのイメージでしたので、
正直愛知県在住の私が、髙岡市の外れのここまでなかなか来る機会はないのかもしれないと思っていました。
能作本社は、高岡市の外れの田園風景の中に突如現れる富山県高岡市オフィスパーク内にありました。

 

 

エントランスには、真鍮の花瓶が作者名入りで100種展示されており、
さらに入っていくと、吹き抜けの広い空間に鋳物の木型がアート作品のようにびっちり並んでいました。
これを見て、生半可な気持ちで立ち寄って、工場見学までできないなと悟り、
体験コーナーとショップの間を抜け、早速カフェでお昼ご飯を注文。
待っている間に、すぐ横にあるファクトリーショップのベル(おりん)や風鈴の美しい音色比べや
美しい水引デザインの箸置きなどのプレゼント選びに食事をするのを忘れるくらい没頭しました。

 

 

 

食事の食器には自社製品が使用されており、工場見学のツアーはエントランスで興味をそそり、
工場見学でものづくりの現場を見て、体験工房で実際につくり、カフェでは食器の使い心地を
試すことができるという流れができていました。

 

 

 

富山の観光情報のカードが並んだコーナー「TOYAMA DOORS」

居心地の良いおしゃれな空間で想像以上に楽しめましたが、
一番驚いたのは富山の観光情報のカードが並んだコーナー、「TOYAMA DOORS」です。

能作さんの社員の方のおすすめの観光地や飲食店の200か所の紹介が1枚1枚カードになっており、
持ち帰ることができようになっていました。
それらのカードが並んだ大きな棚を見て一瞬で、髙岡そして富山も好きになってしまいました。
はるばる訪れたお客様に対してとてもよく考えられたアイディアで、眺めているだけで
ワクワクするコーナーでした。

 

 

これは、「能作が入り口(ドア)となって、高岡をはじめ富山のいろいろな場所に出かけてもらうための仕掛け」だそうです。
エントランスには、富山の見どころを伝えるプロジェクションマッピングもあり、
地域全体を盛り上げていこうという能作さんの姿勢を強く感じました。

今回は滞在時間が1時間強しか取れなかったので、
エントランスの展示、食事とショップのみの見学でしたが、
それだけでも充分、能作さんの産業観光に対する熱い想いが伝わってきました。

今や、高岡市では2番目の観光地として知られ、自社の目先の利益だけではなく、
富山、そして日本のものづくりの発信の地として社会貢献していく能作さんに今後も目が離せません。

以上、ブランディングに興味のある方はもちろん、コロナ禍で企業としてどう生き抜くか?を
考える方々にも大きなヒントがあるように思えましたので、
今回「能作」ワールドの一部をご紹介させて頂きした。

いつかまた、じっくりと工場見学ツアーに行くのが楽しみです。

 

クリエイティブディレクター 齋藤真弓

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